新型コロナウィルスの大流行は、カナダにおいては長期ケア施設の入居者に対して特に甚大な被害をもたらしました。2020年3月中旬以降、ケベック州とオンタリオ州の長期ケア施設ではコロナの集団感染が発生し、両州において8,000名を超える入居者の方々が亡くなられました。また、徹底的な感染対策とワクチン接種を重ね、集団発生を抑えた高齢者施設、高齢者住居においても、施設利用者の生活規制、家族との面会制限、ボランティアのプログラムの制限等々によって、利用者のウェルビーイングが侵される状況がこの2年余り、続き、未だにコロナ以前の状況には戻っていません。
そんな中で、ジャムズネットに集まる人々に呼びかけ、高齢者支援ネットワークを2021年2月に立ち上げました。アメリカ、カナダ、ドイツ、フランス、スイス、日本、アジア、オーストリアで、邦人や日系人のシニアの皆さんに対するサービスを行う現場の方々に呼びかけ、オンライン会議の中で情報を発信し、共有する学びの場を作っていきました。例会は12回を重ね、アメリカのヘルスフェアや東京の高齢者をテーマにした勉強会にも共同で参加してきました。この会のメーリングリストには2022年5月30日現在で47名の方々が世界中から登録されています。5月14日には第一回の世話人会を持つこともできました。
今までの会合の中で、こうした活動に対する肯定的な声が寄せられています。
“コロナ禍の中で、それぞれ大変な中、世界各地で頑張っておられる方々のお話を伺えるのは大いに勇気づけられ、貴重である。”
“高齢者支援はヘルスケアのシステムと日系コミュニティが協力しないと十分なサービスが受けられない。そこを踏まえつつ各国の高齢者ケアの問題に携わっている人々との情報交換ができるのは有益である。”
“コロナ禍で日系人の集会ができないなどという声を聴くが、高齢者支援ネットワークのホームページやブログなどがあれば、励みとなり、各地の小さな高齢者支援が活発になるのではないか。”
以上の活動とそれに対する評価を踏まえて、私たちは、今後、日本と海外諸国の国境を越えて、高齢化社会の中でその地に住む人々の生涯を支えるための情報交換と相互交流の場を継続的に作っていくことの重要性を確認し、世界に広がる高齢者支援ネットワークのウェッブサイト作りを開始します。このサイトが充実したものとなり、邦人シニア、日系シニアの皆様にとっても利用価値のあるものにするため、例会を続け、世話人会の代表者の皆様からのご意見を拝聴しながら完成させていく所存です。今後ますますのご指導とご鞭撻をいただけますように、お願い申し上げます。
2022年5月30日
ジャムズネットワールド・高齢者支援ネットワーク
代表 傳法(でんぼう)清 (ジャムズネットカナダ理事会議長)